心機一転!で新しいソフトに挑戦☆

小編成吹奏楽曲「Tsuki no Hikari ~昇天~」の音源を作成するにあたり、この度はじめて「Dorico Pro」と「NOTE PERFORMER」を使ってみました。これまでは「Finale」で楽譜を作成し、MIDIデータだけを出力して → Cakewalkというシーケンサー(DAW)で音編集を行っていたんですけどね・・・。Finaleは急に(勝手に)開発終了になるし、Cakewalkも親がコロコロ変わるしで、ちょっと制作環境を落ち着かせたかったので心機一転で新しいソフト達に挑戦してみました。

「Finale」「Sibelius」「Dorico」は3大楽譜制作ソフトと呼ばれていましたが、FinaleがホントにFinaleを迎えてしまった・・・洒落になりませんよまったく!(# ゚Д゚) お仕事で使っていたわけですからね。救済措置として購入ユーザーはDoricoに格安で移行できるよ~ということで、選択の余地なくDoricoになったわけです。ハイ。そんな方、たくさんいらっしゃいますよね?きっと。

音源はですね・・・昔はSC88pro、最近まではSOUND Canvas VAを使っておりました。これがかなりパラメーターを弄らんとええ音にならんわけです。もっと時短になるええもんはないかな?と探しておりましたら、ノートパフォーマーという優れた音源ソフトに出会ったわけです。何が優れているかというと、ソフトの独自AIなるものが譜面から音楽表現を考える・・・といったもの。ウソだ~?とも思えるのですが、ホントにある程度やってくれます。

ドリコわからん!(# ゚Д゚) そんな時に見つかるヘルプは結構多い

そうはいうても同じ楽譜ソフトじゃろ?できるじゃろ~・・・とナメておりました。最初全然わからんのですよ。フィナーレはもう20年以上使ってきたわけだから、今さら他仕様の楽譜ソフトを使うのはやはり辛いのです。そんな時に助かるのが、普通に検索して出てくるDoricoの使い方サイト。公式から個人まで、何なら動画でや~り~か~た~♪まで結構ある。これは意外でしたね。フィナーレってヒント少なかったなぁ。

フィナーレよりやりづらいこと

はじめに最も違和感があったのは、音程の決定でしたねぇ。フィナーレでは五線の上にポンと音符を置いて、↑↓で狙いの音程までテテテテーっと上げたり下げたりしました。これがドリコで同じことをすると・・・カーソルがスコアの上や下のパートへ跳んで行くわけですよ。いやいや…どこへ行きよんや?(‘Д’) 

つまり、狙いの音程場所にダイレクトにポン!と置かなければならない。いやぁ…目の悪い私には困る仕様です。まぁ、フィナーレと似たようにやろうと思えば、Alt を押しながら ↑↓ を押せば、フィナーレと同じように調の中でテテテテーっとできるんですけどね。コレ、微妙にひと手間なんだよなぁ・・・。↑↓ だけならね、マウスに右手を乗せたまんま左手で押せてました。しかし Alt も押すとなると、左手が Alt で右手が ↑↓ になっちゃいます。んー。

フィナーレだと違う場所に再びポン!とやるとハモリができますよね。さらにもう一回ポン!でハーモニー。これがドリコではそうならない。単パートは単音で絶対です。複数の音を団子に重ねたい場合は、団子にするよ!というパネルを押しておきます。ピアノパートを作る際にはコレたいぎいんだよなぁ。慣れるしかないか・・・。

フィナーレより簡単になったこと

Shift + Alt + ⇒ で音符の長さを変えられるんですよ。私の環境では Shift + Alt + ⇒ を押すたびに八分音符の長さが付け足される設定(変更可)にしてます。ちなみに、Shift + Ctrl +Alt + ⇒ では音符の長さが2倍になります。4/4で8拍ロングトーンさせたい時に二分音符を打ち込んで、そして Shift + Ctrl +Alt + ⇒ を2回叩けば完成です。自動的にタイでつながった全音符2つが出来上がります。コレは便利!(・∀・) 

それから、クレシェンドやデクレシェンドがですね、ドリコでは普通に水平に記譜されます。フィナーレではデフォルトではいつも斜めになるのが面倒でしたね。新しい楽譜を書くたびに水平設定してましたねぇ。クレシェンドの見た目もドリコの方が良いですね。フィナーレではいつも微妙に気にくわなく、クレシェンドの長さを微調整してました。

スペーシングについても、ドリコの方が優れています。フィナーレでは「え~それで本気のスペーシングなん?(‘Д’)」という残念な楽譜を丁寧に手直ししてました。フィナーレは自由度が高い分、ある部分では放任主義すぎて呆れる面がありました。ドリコは逆で、ルールがビシ!っと決まっていて付き合いにくい。ただ、ちゃんと細かい設定変更(ずっと覚えてくれる)ができる分優しいと思いました。

さて、少しずつドリコに慣れてくるのですが・・・サクサクでまではいかない。フィナーレではサクサクサク!ってやっとったんで、やはりストレスです。実はこんなフィナーレ専用機を使っておりました。

古いキーボードをフィナーレ専用に改造しました。シール貼っただけですけど。これは全て、フィナーレ側で決められているショートカットを覚えられないのでシール貼ってみた!というわけです。これは記念に残しておいて、ドリコ用の専用キーボードを早く作りたいと思っております。

もうひとつ、プログラマブルテンキーです。自分でショートカットを作ってそれを各ボタンに設定できるという、超優れた周辺機器ですね。Ctrl + C とか、+Ⅴとかでコピペ・・・などは結構知られてるショートカットですが、Ctrlに一旦指を置きつつ・・・ってのがたいぎいわけでして。Ctrl + C をプログラマブルテンキ―に登録すればボタン一発でできちゃいます。面倒くさくないですね。

フィナーレではショートカットをオリジナルカスタムできるので、それをこのテンキーの好きな場所に設定しておりました。

そして今現在使っている、ドリコ専用のプログラマブルテンキーです。よく使うアクションを厳選して設定しています。正直、これがないと楽譜作業は劇遅になります。必需品ですね。例えば先ほどの「音程テテテテ―」の問題も、コレに設定してしまえば左手だけでできます。

フィナーレ専用で使ったプログラマブルテンキ―はサンワサプライの製品でしたが、これは同じメーカーの進化版です。設定できるボタンの数が劇的に増えてます。MODE1・2・3とありまして、パソコンでいうところの一つのボタンに複数の文字や記号パターンが設定されているのと同じことが可能です。

しかしまだ慣れてる途中ですので「ん~ちがうな~」と思ったら、別のショートカットに変更してみたりするなど、調整中であります。

プログラマブルテンキ―のおかげでもある

結局、ドリコに慣れることができたのはプログラマブルテンキ―の貢献度が高いですね。フィナーレでやってたことを、ボタンを変えただけですから。ドリコのルールはそれはそれで覚えていくわけですが、ショートカットでポン!できちゃうのはハードル下がると思われますよ。

ノートパフォーマーでどこまでできるのか?

最も私をワクワクさせたのは、金管群のやわらかいフォルテです。これを以前の音源で作ろうとすると・・・いや、できんな。何年経ってもこのレベルには到達できない。普通は硬くてただデカい音になるところを、ワーン!といわせるワケです。スゴッ! ヴィブラートも良いですね。木管も金管も自然で表現的な波を奏でてくれます。

それから、私は吹奏楽指導の現場で「音の尻尾を丁寧につくろうね」とよく言うのですが、この音の尻尾をポン付け演奏でちゃんとやってくれます。小さい自然な一瞬のデクレシェンドのことですね。これをやらないと、ビーム光線をスパッ!と切るような音終わりになりますから。そして普通のクレシェンドやデクレシェンドでは音色変化をしてくれます。これこそリアリティーを感じる仕様だなと思いますよ。本物の管楽器では音色変化の起こらない音量変化などあり得ませんからね。

表現の付け足しカスタマイズはどこまで可能か?

ノートパフォーマーのことをご存じで導入を検討・迷い中の方は、メーカーサイトのデモなどを既に聴かれたかと思います。あれはようするに「ポン付け」「そのまんま」でココまでやれるよ~という演奏であり、そこから更にどこまでユーザーが自由に表現をいじれるんか?が気になるところですよね。

これはノートパフォーマーというよりは、ドリコのシーケンサーとしての機能が高いので表現カスタマイズは結構できます。上の図でわかるように、ふつうにシーケンサーですね。クセとしては、音長のバーの最後を「・・・ン」と美しい尻尾にしてくださるのですが、それじゃちょっと短いよねーになりがちです。そんな時はバーを次に被るくらいまで伸ばせば解決です。

レガートがもっと優しく柔らかくつながって欲しいなぁ・・・な時は、1音ずつのバーを長めに伸ばせば良いですし、キレキレのスタッカートではその逆でバーを短くすれば良いですね。それでも機械的な切れ方にならないので、ドリコ&ノートパフォーマーは優秀であります。

表現の抑揚(強弱変化)をもっとこちら主導でカスタマイズした場合も、折れ線グラフのように自由に設定できます。AIがこれをヒントに再考してくれます。こういうところはボーカロイドの調教に似た感じがありますね。画面は強弱のカスタマイズですが、ベロシティももちろんカスタマイズ可能です。強弱とベロシティのセットで調整していくことで、結構変えることができます。同様に、テンポの設定も折れ線グラフで設定できますので、間やリタルダンド、アッチェレランドなどは結構自由自在です。

カスタマイズした演奏を聴いてみる

もっと慣れていけば、もっと良くなるかなぁ・・・と今後の伸びしろに期待しつつ、とりあえずドリコ&ノートパフォーマーの演奏を公開しておりますので、参考にされてくださいね。

Tsuki no Hikari ~ 昇天 ~


ダウンロード版 ¥10,000 (税込)
作曲:政本 邦央
演奏時間:約6分40秒
           ⇒ 詳細はこちら

使用楽器

木管金管打楽器とピアノ
Flute
Clarinet
Bass clarinet
Alto saxophone
Tenor saxophone




Trumpet
Horn
Trombone
Euphonium
Tuba




Timpani
Glockenspiel
Vibraphone
Bongos
Bass drum
Crash cymbal (suspended)
Tam-tam (large)
Claves
Sleigh bells
Piano

ちなみに、Dorico Pro の現在の最新ヴァージョンは6、NOTE PERFORMER は5です。NOTE PERFORMER については、以前の4では他メーカーの高価な音源でも独自AIで表現してくれる機能がありました。私も他メーカー音源を検討してみましたが・・・お値段高いんでね。やめときました。5からはその機能は廃止されたようです。個人的にはノートパフォーマーだけで十分なんじゃないかな?と思うんですけどね、ただ打楽器についてはもっと自由度欲しかったなぁ…というところです。グロッケンのマレットを真鍮にしたり、ヴィブラフォンは毛糸のデカ重マレットでモン!って鳴らしたかったなぁ…とか。欲にキリがないんで終わります。

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